Kさん(42歳)が当院に来られたのは2013年5月でした。
主訴は卵胞ができにくいということでした。
42歳でAMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)の結果が
1.00ng/ml以下でした。
この数値は卵巣年齢46歳以上の数値になります。
原子卵胞の数がかなり少なくなっている状態でした。

Kさんは1年半前くらいから他院で鍼灸治療をされていたのですが、
どうも腑に落ちないことがあったようです。
1年半も治療していて、体質が改善されているという感覚が
余り感じられなかったことと、いろいろ質問しても決まって返事は
「大丈夫ですよ。きっと妊娠できますよ。」だったようです。

そこでKさん、足立病院生殖内分泌医療センター長の中山先生に相談されたところ、
当院をご紹介いただきました。
当院では「大丈夫ですよ。きっと妊娠できますよ。」とは言いません。
100%妊娠できる保証はないからです。「妊娠できたらいいね」とは言います。
・・・というのも、当院に来られる患者さんのほとんどが、
体外受精までステップアップしているのに、妊娠できていない方が
ほとんでだからです。
体外受精までして100%妊娠に至らないのは、高度生殖医療の
限界もあるということですね。

東洋医学で治療していても、基本的に西洋医学の知識がないといけません。
Aクリニックではクロミッドで採卵なのに、
Bクリニックではセキソビットで採卵。
Cクリニックではフェマーラを使って採卵したりと、各クリニックによって
使う薬が違ったり、採卵の方法も違ったりします。
何故その薬を使うのか良く患者さんに聞かれます。
せめて簡単な説明くらいはできないといけませんね。

ドクターの前では緊張していろんな話を聞きたいのに聞けずじまいで、
モヤモヤが残ってしまう。
体外受精をしていたのに今回は人工授精にしましょうと言われ、
何で何で何で・・・と思って訳が分からなくなる。
そんな「何で?」になるべくわかりやすく説明できるのも、
幸いなことに若いころ不妊専門クリニックで学んだことがとても役に立っています。
その知識を当院のスタッフにも学んだことを常に教えております。

鍼灸治療の効果ですが、現実、妊娠体質の鍼灸治療をしたからと言って、
そんなに簡単に妊娠には至りません。
ただ治療に来られて、なかなか妊娠できなかったのに不妊治療を卒業されて、
ママになられる方も多くおられます。
それは今までの実績があるからです。
今までに卒業された方は940組になります。

話はKさんに戻りますが、彼女が足立病院生殖内分泌医療センターにたどり着くまで、
2か所のクリニックで治療されていたようです。
転院の原因は様々でしょうが、Kさんの場合、基本的に卵胞ができにくい体質です。
いくら排卵誘発の薬を使ってもなかなか卵胞が育たない。
年に数回卵胞が育っても、受精させたらグレードが低すぎて胚移植できない。

薬で排卵を誘発することはできますが、卵子の質を向上させるような特別な
お薬はないように思います。
最近はクリニックでもDHEAなどのサプリメントを勧めているところもありますが、
すごく効果が出ているとは言い難いと思います。
実際に服用されている患者さんの卵胞の質が特に向上しているのかは微妙ですね。

Kさんは20代の頃から年に数回生理が来るという状態でした。
これではなかなか卵胞が育ちませんね。
不妊治療されていてストレスもいっぱいあるようでした。

Kさんの治療は、先ずはストレスで固くなった身体をリラックスさせることから
始めました。

to be continued
Omura